アルバム「霞んだ昨日、雫の中の明日」歌詞・クレジット

霞んだ昨日、雫の中の明日

1.夜明けを眺めて書く日記 feat.倉本美津留

2.ブラウン管の花畑

3.お引っ越し

4.薔薇と炭酸

5.霧に押されて

6.東京の雪

7.明日天気にしておくれ

8.晴天に月光

9.大きな夜

10.風光明媚 feat.西寺郷太

1.夜明けを眺めて書く日記 feat. 倉本美津留

作詞・作曲・編曲:窪田渡

朗読:倉本美津留


夜明けを眺めて書く日記

2.ブラウン管の花畑

作詞・作曲・編曲:窪田渡


真っ赤な野ばらに積もる砂埃に

かすんだ記憶を見つけ出し

微笑んでご挨拶を

いつかまた会う日まで


がらんとした 何もない

部屋は赤く染まり 

だれも見ていない

テレビの声が響く


雨が上がりに開けた出窓から

入り込む砂煙越しに

遠く浮かぶ摩天楼が見えた


真っ赤な野ばらに積もる砂埃に

かすんだ記憶を見つけ出し

微笑んでご挨拶を

いつかまた会う日まで


化粧板が朽ち果てた

柱の影は長く  

めくれ飛び散った

白いタイルを隠す


空を駆ける湿気た風に乗り

入り込む砂煙越しに

遠く光るネオン管が見えた


水銀のように淡く輝いている

なくした記憶のうつろいに

微笑んでご挨拶を

ブラウン管越しに

咲き誇る花の香りに

不意に誘われて蘇る面影にご挨拶を

いつかまた会う日まで

3.お引っ越し

作詞・作曲・編曲:窪田渡


アパートの鍵はまだ手に馴染まない

古ぼけた窓には陽が差す

入れたてのお茶の

香りだけが部屋に広がる

たった一人で過ごす朝に

日当たりが良い部屋にまだ馴染めない

見慣れてる荷物もつれない様で

月明かり駆け抜け訪れた街の景色は

いつか見た眺めと似た色だ

朝が来る朝が来る

君の知らない部屋に朝が来る

過ぎ去った日々の思い出が浮かぶ

いま広がる陽の中で


挨拶状にはなにを書こうか

捧ぐ言葉を探しに行こうか


踏切と電車の音が響いてる

陽だまりに窓辺は照らされて

ラジオから流れる聴き慣れた歌は今朝だけ

初めての歌のように聴こえるよ


古い日付の日めくりと

時を刻み忘れた目覚ましを

木漏れ日の部屋の中

見つけられずに


朝が来る朝が来る

君の知らない部屋に朝が来る

過ぎ去った日々の思い出が浮かぶ

いま広がる陽の中で


挨拶状にはなにを書こうか

捧ぐ言葉を探しに行こうか

知らない街の様子を書こうか

風の便りを届けに行こうか

4.薔薇と炭酸

作詞・作曲・編曲:窪田渡


赤い造花の一輪挿しが映える喫茶店に

湿気った紅茶の匂いがする

煤けた壁とテレビの音と話し声に

窓の側 長く座る横顔がうつむいた  

誰かを待つふりか探すふりをして

窓の外をじっと見ている

まばらな人波を追いかけている

グラスの中水は泡立っている

薔薇と炭酸

甘い光が外から刺さる午後の喫茶店に

はちみつとシロップの匂いがする

電話のベルと扉の音とニュースの声

テーブルの端に座る横顔がうつむいた

しずくにまとわれたグラスを前に

古い便箋に手紙を書く

記憶の中の風、吹いているのか

白い紙がめくれ舞い上がっている

薔薇と炭酸

5.霧に押されて

作詞・作曲・編曲:窪田渡


眠りから覚めて闇夜を飲み込む

霧に押されて森は静かに息を吐く

空が焼けている

赤く燃えている 

突然の夜明けと1日の始まり

白い蜘蛛は帰ってしまった


大粒の雨が降る風が空に響いている

眠りから覚め闇は遠くに消えてゆく

朝がそばにいる

森に溢れている

突然の夜明けと1日の始まり

白い蜘蛛は帰ってしまった


夜は消えてゆく

色が蘇る

突然の夜明けと1日の始まり

白い蜘蛛は帰ってしまった

6.東京の雪

作詞・作曲・編曲:窪田渡


東京に降り注ぐ雪どけのしずくに

ゆらゆらと舞い上がるのは陽炎

気まぐれな空模様と迷う季節が誘う

ガラス越しに光るような陽炎

流れ落ちる雪景色

風に潜む花の香り

風邪気味の昼下がり

不意に動機がしたので空を見上げると

突然に降り注ぐ日差しに顔が照らされて

春の風が吹きました 

季節外れの雪は消えてゆくのです

東京に降り注ぐ雪どけのしずくに

ゆらゆらと舞い上がるのは陽炎

気まぐれな空模様と迷う季節が誘う

ガラス越しに光るような陽炎

流れ落ちる雪景色

風に潜む花の香り

僕は重い眼差しで

軒下の雫を覗き込むと逆さまに映る

雪化粧の赤い屋根が君が過ぎ去った街まで

続いているのが見えました

白く染まった街は消えてゆくのです

がらんとした心に降る雪どけのしずくに

日が差して舞っているのは陽炎

めまいがちで揺れてしまう風邪気味の旅路に

行き先に見えているのは陽炎

流れ落ちる雪景色

風に潜む花の香り

遅刻気味のバス通りに

響く僕の咳ばらい

7.あした天気にしておくれ

作詞・作曲・編曲:窪田渡


冷たい冬の風は障子を破って

春の匂いを連れて来ます

僕は椿の花を眺めながら縁側で

晩白柚をかじっています

震えているのは

すっぱい味のせいなのです

君に会えるときくらいは

晴れてほしいのです

あした天気にしておくれ


ブレーキの音が

きーんと大きくこだまして

赤い自転車が止まっています

君から届いた電報に

姿を間近に見た気がします

読みづらいのは

見慣れぬカナのせいなのです

君に会えるときくらいは

晴れてほしいのです

あした天気にしておくれ


ぼんやりとした気分で

天井を仰ぎながら

畳の上に寝ころんでいます

明かりの消えた電球は

寝ている姿を映しています

寝苦しいのは

冬の風のせいなのです

君に会えるときくらいは

晴れてほしいのです

あした天気にしておくれ


庭先の生垣に太陽の雫が

不意にポタポタと落ちて来ます

気がつけば遠く豆腐屋の

鐘の音がりんりんと

聞こえて来ます

眩しいのは

強い西日のせいなのです

君に会えるときくらいは

晴れてほしいのです

あした天気にしておくれよ

しばらくぶりのご挨拶に

傘は似合わない

あした天気にしておくれ

8.晴天に月光

作詞・作曲・編曲:窪田渡


青く光る月は今夜

眠る街を照らしてる

漆黒の夜空に浮かんで

青く空を染めてゆく

静かな路地裏に

階段の影は伸びる

真っ赤な花は夢を見て

森は息を吐き出す

白く輝いている雲は

せせらぎに舞っている絹のようだ

幻のよな光が包み込まれ滲んでる

ぎらぎらと

晴天に月光

昨日の風は別れ際に

明日の風と混じる

まばゆい夜空に時間が

過ぎ去っては消えてゆく

真昼のような空は

水面に散ってゆく波のようだ

幻のよな記憶が波間に舞い蘇る

ぎらぎらと

晴天に月光

9.大きな夜

作詞・作曲・編曲:窪田渡


だんだん暗くなる街の日暮れに

無邪気に騒ぐ子供の声が響いている

街はずれの鉄塔は火花を

撒き散らしては闇夜を照らす

遠くに見える小さなビルの窓から

水銀燈の光が空に消えてゆく

線路の踏切は鐘の音を

響かせて赤く闇夜を照らす

大きな夜が街に忍び寄るんだ

人の姿も影も形はなくなり暗闇に溶け消える

団地の窓からこぼれる部屋の明かりが

誰もいない空き地の空を照らしてる

街はずれの煙突は炎を

吐き出しては闇夜に刺さる

大きな夜が街に忍び寄るんだ

人の姿も影も形はなくなり暗闇に溶け消える

街の光を飲み込む深夜の夜空に

異国の空からラジオの声が届いている

信号に照らされた街路樹は

季節外れの夜風にゆれる

10.風光明媚 feat.西寺郷太


作詞・作曲・編曲:窪田渡

featuring vocal:西寺郷太(NONA REEVES)


彼岸花が咲く季節の

河川敷の坂道に

菜の花畑の蜃気楼が浮かぶのです

上がり框を飛び越えて

駆け出した午後の行き先は

誰も知らない眺めでした


風光明媚な街並みへ

出かけてみませんか

水溜まりは空色で

訪れる次の季節を

今のうちから写し出す

明日には消えてしまうのだろう


空っ風が吹く季節の

河川敷の坂道に

ひまわり畑の蜃気楼が浮かぶのです

けやき並木をくぐり抜け

駆け出した午後の行き先は

とても不思議な眺めでした


風光明媚な街並みへ

出かけてみませんか

忘れ物はそのままで

出かけてみませんか

落ち葉を舞う風は

やがて訪れる次の季節を

今のうちから色付ける

夜には去ってしまうだろう


誰も知らない街並みだ

とても不思議な街並みだ

風光明媚な街並みだ

霞んだ昨日、雫の中の明日

Recording date:2019/3/31~2020/5/31

All vocals sung & all instruments played by 窪田渡

Guest 倉本美津留(M1) 西寺郷太(M10)

Mixed by 窪田渡

Mastered by  中村文俊(office invillage)

Gota's Vocal Recorded by 兼重哲哉

Photograph & Art direction by 窪田渡

Special Thanks ninpop、NONA REEVES 

Produced by 窪田渡

©️2020 霞レコード